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かぎろひ

かぎろひ

頂いた小説♪


こちらにおいてあるのは、犬夜叉&最遊記サイト「BloodyMary」様より頂いた小説です。
当時、BloodyMaryのBBSで、管理人の一人の金華さまの
「あたし、昼メロな犬夜叉が書きたいな~」
「お、おくさん、オレ……みたいなの~」
「誰かリクしてくれないかな~」
なんていう話題で盛り上がったことがありまして、
「あ~、あたしも読みた~い」ということで、俄然ノリ気の私。リクするには、キリ番とるか、サイト内にあった「犬夜叉ストーカークイズ」のクイズを考えて、そのお礼で頂くぐらいしか、私にはできませんでしたので、クイズを考えました。
その結果、できあがった小説です。

そういうわけですので、犬夜叉小説ではありますが、原作とは全く関係のない、ドリームな仕上がりとなっております。なお、文中の「ふみ」は、私のもうひとつのHNです。

バレンタインデーにあわせて、愛をこめてUPします。
文・金華さま イラスト翡翠さま です。


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らいん桜


「おいー、まーだーかーよー。」
「はいはい、待って。」
「って、さっきからそればっかじゃねーか。」
やりとりを重ねるごとに、ベッドの青年の口調は拗ねを漂わせていく。

「もう少しだから。」
キッチンからは穏和な響き。
調理の手を止めた後姿が振り返り、屈託のない笑みが投げかけられていたが、
そうされるほどに青年は、むしろ宥められまいと頑なになっているかに見えた。

なぜなら笑みだけに留まらず、声音も、仕種も、全てにおいて柔らかなそれらが、
しきりに青年へ呼び起こさせていたのだから。
少し前まで腕の中に在ったその女性の温もりを、香を。
重ねあった素肌の感触を。
青年の城 ━ 小さなワンルームいっぱいに広がった甘いばかりの囁きを、
震う吐息を。
そして、絡め合い、繋ぎ合った全身で分け合った狂おしいまでの官能を。

「おい、ふみ、もうおれは待てねえぞ。
おまえが来ねーなら、おれが行く。襲いに行くからな。」
「ええー、今襲われたら困るわ。
手料理食べたいって言ったの、犬夜叉でしょ。私だって、あなたに食べさせたい。
いつも一人でろくなもの食べていないんでしょうから。」
「そりゃそーだけど・・。今はメシよりふみのこと食いてえ。」
「さっきしたばかりです。」
「何回したってかまわねえだろー。来いよー。」
「私、お洗濯もして行きたいのよ。」
「洗濯は、あとでちゃんとやっとくから。」
「だーめ、毎回そう言うのに、
来てみれば溜め込んだままなんだから、犬夜叉は。」
「ふみー。」
「仕方ないじゃない。時間が」
「だからさっきから呼んでンじゃねーか。
早くしねーと、おまえが帰っちまう時間に・・・・」
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
 

受け答えのつもりが、いつしか混ざり込んでいた禁句。
気づけば胸にはキュンと切なさ。沈黙が訪れる。
「帰るな」「おれだけのものになれ」
今にも青年の唇に、そう呼びかけられそうで、
咄嗟に視線を落とすと、薬指には外せどもクッキリと残る指輪の痕。

だからこそ弾ませた声。
「そっち・・・、行こうかな、私。襲われないうちに。」
それは、脱せずにいる禁断の関係への
「ごめんね」の代わりだったのかもしれない。
そして
「おう、つべこべ言ってないで、早くしろ。」
響き渡ったぶっきらぼうな返答は、失言を蹴散らし、
まるで女性を守ろうとでもしているような・・・・
限られた時間であっても、育める愛情があるのだと、
語りかけているようにも聞こえた。


「きゃっ」
「へへ、捕まえた。」
ベッドへ近づけば、不意に引かれた手。
瞬く間に女性は、力強い腕の中へ逆戻りとなっていた。
「もーう、犬夜叉・・。」
「残念、どっちにしろ、襲われちまうんだって。」
「バカ・・。
あ、ねえ、お洗濯のこと、約束よ。
それから、ご飯、あとでちゃんと、・・ん・・・」
紡まれる続きすら待てないと主張する青年の唇は、
重なり合う唇を味わいつつ、「わかった」と囁いた。

「ん・・ッ、ふみ・・・。
ん?・・・え゛?・・・・・ああ~?」
「どうしたの?」
「なんか・・・コゲ臭くねぇ?」
「え・・・・・?
ハッ!ああ~~、お鍋!!」
キッチンへ駆けつけるや否や、きゃきゃーと声。
「どうしよー」
連発してはベソにも似た表情。
少女のごとくあわてふためく年上の女性(ひと)を見つめる顔は、
和らぎ目尻を下げていく。

「ごめんなさい、私、ちょっと行ってきます。」
「え!?お、おい・・・、ふみ?」

慌しく玄関を飛び出した女性が残した言葉に、
青年は微笑ましさのあまり、更に目尻を下げていた。



幸姫 : あ、あれ? ふみさま行っちゃったよ?
紫石英 : 一体どこへ?
金華 : 買い物・・・(ぽそ)。
紅蓮 : 材料買って作り直すのか・・。偉いな。
翡翠 : 犬夜叉のためだからねー。
金華 : うん。でも材料だけじゃないの。・・・・鍋も。
     みんな見る?どんな鍋か。
     ここクリックすると見られるよ。→■
(鍋の絵はありません。犬夜叉のような耳つき鍋の絵をご想像下さい)
見た者 : ・・・・・・・・・・・(バタバタバタバタ)ヤベエ、閉じろ!

愛染 : 金華、これってヤカ・・ン(モゴモゴ)
全員 : (愛染を羽交い締める・口を塞ぐ)

                          BloodyMary一同


らいん桜

補足+α

最後の鍋とヤカンについて

BloodyMary(後の「HeartPlace」)のコンテンツに、司会は弥勒様、アシスタントは犬夜叉の「通販ショー」というのがありました。
ヤカン(犬夜叉のような赤い色+耳つき)はその中の商品「ウォーターベッド」のおまけだったのです。(ちなみにベッドは殺生丸さまお買い上げです。)
鍋はそれにひっかけたデザインの鍋でした。

そういう意味ではこの作品も、お礼小説ではありますが、BloodyMary(HeartPlace)の中の流れの作品のひとつだったのかもしれません。


「昼メロな犬夜叉」というリクでしたので、いったいどんなものが…とドキドキして読んだのですが、
なんと!「お、おくさん…」(笑)からはほど遠い、すばらしい出来上がり!「きゃー、どーしよ~~」とおろおろ?した記憶があります。
なんだか、ものすごくかわいらしく、いい女のように書いていただいてしまって、感謝感激です。
BloodyMaryの皆様、特に金華さま、翡翠さま、ありがとうございました。





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